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有機系建築材料の基礎講座

有機系建築材料の劣化因子とその試験

当センターでは有機系建築材料について、さまざまな耐久性試験を多数実施し、日本産業規格(JIS)や日本建築学会の建築工事標準仕様書(JASS)に定めた性能を保持しているかの確認や評価を行っています。こうした立場から、有機系建築材料の要求性能試験方法試験設備などについてまとめました。
各章のボタンのリンク先は、建材試験センター公式SNS noteです。

1.有機系建築材料の種類と劣化因子について

有機系材料とは

有機系材料は伝統的な材料として木材、紙、草などがありますが、その他に比較的新しい材料として樹脂ゴムを使ったものがあげられます。樹脂やゴムを使った有機系材料は無機系材料と比較して柔らかいものが多く、水分、空気中の酸素太陽光などのさまざまな劣化因子によって可塑性分の揮散や油脂成分の散逸を起こし、無機系材料より早く劣化する傾向があります。

建築材料の耐久性とは

建築材料の図

建築材料にとって耐久性能とは、使用環境に存在する劣化因子に対する抵抗性といえます。耐久性能の高い材料によって建築物を構成することが、建築物の長寿命化に繋がることから、試験によって耐久性能の確認された建築材料が求められています。

Part1 有機系建築材料の種類と劣化因子について(建材試験センター【公式】note)

2.高分子系建築材料に関する熱劣化とその試験

熱劣化とは

プラスチック合成樹脂などの高分子系建築材料は、により物性が変化します。不可逆的な変化とは、熱により温度が上昇し、高分子系建築材料の化学構造自体が変化してしまう現象で、熱が取り除かれても材質は元の状態には戻らず、色の変化強度の低下などの変化が起こります。この不可逆的な変化を熱劣化と言います。

熱劣化試験とは

熱劣化試験は、高分子系建築材料の中でも直射日光や外気にさらされる防水材料、外装材料などに対し、長期安定性を評価する上で非常に重要です。 
一般的な方法は、高温に保たれた試験槽の中に試験片を静置し、一定時間高温環境下に暴露することで熱劣化処理を行います。その後、熱劣化処理を行った試験片と熱劣化処理を行っていない試験片の物性をそれぞれ確認・比較することで、劣化の程度を評価します。熱劣化処理の試験条件は、評価する対象の高分子系建築材料の使用環境下での最高温度や、材料に要求される寿命を勘案して、温度や処理の期間が規定されています。

強制循環形熱老化試験機(ギヤー式老化試験機)とは

強制循環形熱老化試験機の図

熱劣化試験は、高分子系建築材料の中でも直射日光や外気にさらされる防水材料、外装材料などに対し、長期安定性を評価する上で非常に重要です。 
一般的な方法は、高温に保たれた試験槽の中に試験片を静置し、一定時間高温環境下に暴露することで熱劣化処理を行います。その後、熱劣化処理を行った試験片と熱劣化処理を行っていない試験片の物性をそれぞれ確認・比較することで、劣化の程度を評価します。熱劣化処理の試験条件は、評価する対象の高分子系建築材料の使用環境下での最高温度や、材料に要求される寿命を勘案して、温度や処理の期間が規定されています。

Part2 高分子系建築材料に関する熱劣化とその試験(建材試験センター【公式】note)

3.摩耗試験

摩耗とは

摩耗とはすり減ることであると言い換えることができます。建材が摩耗する理由として、筆頭にあげられるのは人間の歩行です。建材の中でも、耐摩耗性が特に求められるのは床材です。一人が一回歩いたときの負荷はわずかでも、何年もかけて多くの人に歩かれた床は汚れてすり減ってしまいます。オフィスビルや店舗等の出入口にはマットが敷かれていますが、靴底の汚れを取るためだけでなく、人通りの多いところの床材を守るためでもあります。

吉岡式摩耗試験機とは

吉岡式摩耗試験機の図

吉岡式摩耗試験機(JIS A 1451)は、試験片の表面に砂を撒きながらピアノ線のブラシ鋼板を擦りつけ、更に打撃鋲で打ち付けるという試験です。試験片厚さの減少や、外観の変化について評価を行います。高分子系張り床材試験方法(JIS A 1454)の耐摩耗性試験にも用いられています。

落砂摩耗試験機とは

落差摩耗試験機(JIS A 1452)は、回転する試験片の上から砂を落とし、表面の削れた度合いを評価します。この試験方法では、試験片表面の光沢・透明度・塗装のうちいずれかの変化を測定します。

テーバー式摩耗試験機とは

テーバー式研磨紙法(JIS A 1453)とプラスチック摩耗輪(JIS K 7204)は、装置の基本構成は同じですが、寸法が少しだけ異なります。
JIS A 1453はゴム輪の表面に研磨紙を巻き付けたもの、JIS K 7204は摩耗輪と呼ばれる研削用の砥石を回転する試験片に擦りつけます。質量・厚さの減少、外観の変化について評価を行います。

Part3 摩耗試験(建材試験センター【公式】note)

4.水や薬品などの液体による劣化とその試験

水や薬品による劣化とは

有機系建築材料の水や薬品による劣化の図

有機系建築材料は、水や薬品などの液水が表面に接触したり、内部に浸入・含浸したりすることで、変形(膨張・収縮、反り、ひび割れ)、変質(変褪色、腐蝕、腐朽)、汚れの付着などの劣化が生じるため、「耐水性」や「耐薬品性」が求められ、様々な試験による性能評価が行われています。
建築物を水による劣化から守るためには、雨仕舞防水などの建築的手法によって水の浸入を防ぐとともに、浸入した水を滞留させないよう維持管理することが重要です。その上で、建築材料としても水の浸入に備えて、その耐性が要求されます。
建築物の用途や使用する部位によっては、アルカリなどの薬品や汚染物質による劣化を受けることもあるため、薬品や汚染物質への耐性も要求されます。

Part4 水や薬品などの液体による劣化とその試験(建材試験センター【公式】note)

5.オゾンによる劣化とその試験

オゾンとは

オゾンは光化学スモッグの原因物質である光化学オキシダントの主成分のひとつでもあり、高濃度の場合は中毒性が有る一方で、強力な酸化作用によって殺菌脱臭などの効果があります。使用後は自動的に酸素に分解するため、洗剤のように残留の心配が無いことから、塩素の代わりに水道水の殺菌に使用される他、農業では農薬の代わりに病害菌の殺菌、畜産においても臭気の分解やサルモネラ菌、鳥インフルエンザウイルスの殺菌など、その他にも医療・食品といった分野で広く利用されています。

オゾンの影響を受けやすい建築材料とは

オゾンによる劣化の影響を受ける材料としては、代表的なものにゴムが挙げられますが、全てのゴムがオゾンの影響を受ける訳ではありませんが、ゴムの耐オゾン性はゴムの種類(分子構造)によって左右され、シリコーンゴムやアクリルゴムはオゾンに対する抵抗性が高い反面、ニトリルゴム天然ゴムウレタンゴムなどはオゾンの影響を受けやすい種類と言えます。 
オゾンの影響を受けやすいゴムについては、ワックスや老化防止剤を配合することでオゾンに対する抵抗性を高め、その効果を試験によって確認する必要があります。
ゴムが使用される建築材料としては塗膜防水材合成高分子系ルーフィングシート建築用シーリング材ガスケットゴムパッキンなどがあり、材料ごとに耐オゾン性についての試験条件が定められています。

耐オゾン性試験とは

オゾンによる劣化は応力が加わった状態の方が発生し易いことから、ガスケット加硫ゴムの耐オゾン性試験では、試験片に繰返し引張応力を加えながらオゾン暴露行う「動的試験」が採用されています。また、建築用塗膜防水材や合成高分子系ルーフィングシートは、ダンベル状に切り出された試験片を所定の長さに伸張した状態で暴露を実施する「静的試験」 を実施したのち、表面のひび割れの発生を確認することで判定を行います。

Part5 オゾンによる劣化とその試験(建材試験センター【公式】note)

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