コンクリート
概要
コンクリートは、建築分野や土木分野ともに幅広いコンクリート構造物に使用され、我々の豊かで快適な社会生活を支えてくれています。コンクリートは半生製品で型枠に合わせた自由な形状作製が可能、材料入手の容易性、経済性、耐震性・耐久性・耐火性が高いなどの利点があります。
近年では建築物の高層化や橋梁のPC 構造適用などに伴って、高強度コンクリートも用いられています。
特徴
コンクリート構造物に打設されるコンクリートの要求性能の一つが構造安全性で、安全性に直結するのが強度です。一般的にはコンクリートの“強度”というと圧縮強度を示し、構造設計にも用いられています。道路舗装や空港の滑走路など舗装コンクリートにおいては、コンクリートの曲げ強度も用いられています。 そのほか、変形性状も安全性と結びつき、静弾性係数が関係します。
主な試験の紹介
コンクリートに求められる要求性能は、建築分野や土木分野、目的や用途、仕様などにより異なります。建築分野、土木分野ともに構造特記仕様書に記載される事項が優先されますが、建築分野では日本建築学会「建築工事標準仕様書・同解説JASS5」の記載事項が最も多く採用されております。土木分野では、主に発注者の仕様書の記載事項によります。また、コンクリートの製品としての規格は、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)があります。それぞれ若干表現や内容が異なりますが、強度試験はJIS A 1108やJIS A 1106に準拠することが大半です。
コンクリートが他の構造材料と異なるのは、正しく強度が発揮されているかは、硬化後でないとわからない点で、そのためにも試験が大事になってきます。基本的な試験方法は圧縮強度試験で、舗装コンクリートの場合は曲げ強度試験を行います。必要に応じて行われる割裂引張試験や静弾性係数試験も試験方法がJISで定められています。
・仕様書等
- 国土交通省、各都道府県および市町村、各種団体の仕様書
- 日本建築学会「建築工事標準仕様書・同解説JASS5」
- 土木学会「コンクリート標準示方書」
・製品規格(JIS等)
- レディーミクストコンクリート:JISA5308
・試験規格(JIS等)
- コンクリートの曲げ強度試験方法:JISA1106
- コンクリートの圧縮強度試験方法:JIS A 1108
- コンクリートの割裂引張強度試験方法:JIS A 1113
- コンクリートの強度試験用供試体の作り方:JIS A1132
- コンクリートの静弾性係数試験方法:JIS A 1149
コンクリートの強度試験
1.圧縮強度試験
圧縮強度試験には耐圧試験機を使用します。建材試験センターでは最大容量1000kN、2000kN 、3000kNの耐圧試験機を保有しております。試験室により保有する耐圧試験機の最大容量は異なります。詳細は、各試験室の保有状況を表に示しておりますので、そちらをご参照ください。
2.コンクリートの研磨
コンクリートの圧縮強度試験において、載荷面に凹凸があると、試験結果にばらつきが生じます。 従って、JIS A1132(コンクリートの強度試験用供試体の作り方)では載荷面の平面度を0.05%以内と規定しております。 建材試験センターでは供試体の載荷面の仕上げのための研磨機を全試験室で保有しております。
3.曲げ強度試験
コンクリートの曲げ強度試験は耐圧試験機に治具を取り付けて試験します。 試験は浦和試験室および福岡試験室で実施しております。
4.静弾性係数試験(コンプレッソメータ)
コンプレッソメータは、供試体取り付け枠と電気式変位計等からなるひずみ測定装置です。供試体への取り付け・取り外しが容易、表面に水分を含んでいても取り付け可能、繰り返し使用可能、などの特長があります。
5.静弾性係数試験(ひずみゲージ)
ひずみゲージはどのサイズの円柱供試体でもひずみ測定可能です。
6.割裂引張強度試験
割裂引張試験では圧縮力をかけて直交方向に生じる引張力から引張強度を算出します。
主な試験方法
コンクリートの強度試験
試験方法・規格 | 試験項目 |
---|---|
JIS A 1106 | 曲げ強度試験 |
JIS A 1107 | 見掛けの密度 |
JIS A 1108 | 圧縮強度 |
JIS A 1113 | 割裂引張強度 |
JIS A 1149 | 静弾性係数 |
各試験室が保有する試験機設備の内訳
コンクリートの圧縮強度
試験室 | 1000kN耐圧試験機 | 2000kN耐圧試験機 | 3000kN耐圧試験機 |
---|---|---|---|
武蔵府中 | ー | 〇 | 〇 |
浦和 | 〇 | 〇 | ー |
横浜 | 〇 | 〇 | ー |
船橋 | 〇 | 〇 | ー |
福岡 | ー | 〇 | 〇 |
コンクリートの曲げ強度
試験室 | 曲げ試験治具保有 |
---|---|
武蔵府中 | ー |
浦和 | 〇 |
横浜 | ー |
船橋 | ー |
福岡 | 〇 |
コンクリートの静弾性係数
試験室 | コンプレッソメータ(φ100mm) | ひずみゲージ |
---|---|---|
武蔵府中 | 〇 | 〇 |
浦和 | 〇 | 〇 |
横浜 | ー | 〇 |
船橋 | ー | 〇 |
福岡 | ー | 〇 |
※φ50mmのコンプレッソメータも中央試験所で所有していますので、日程によってはモルタル等のコンプレッソメータでの静弾性係数試験が可能です。
お申込みから試験実施までのフロー
- お問い合わせ
ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
- 事前打ち合わせ・お見積りの提示
試験料金は料金表をご参照下さい。お見積りが必要な場合は各試験室より発行します。
- 試験のお申し込み
工事用材料試験業務約款にご同意の上、新基幹システムCON-PASから電子申し込みをお願いします。その後、バーコードを貼付の上、供試体をお送りください。(上記でWEB割引等があります)
試験日の1営業日前までに依頼する試験室へ依頼書の送付及び供試体のご搬入をお願い致します。 - 請求書の発行
試験実施月の月末にまとめて請求書を発行します(翌月初旬発送)ので、原則60日以内にお支払い下さい。新規お取引又は直近3年間でお取引がない場合は前入金となります。
- 試験の実施
試験を実施します。
試験立ち会いが 必要な場合は申込時に希望日時をお伝え下さい。 - 試験結果報告
試験終了後、報告書を作成し、新基幹システムCON-PASにて電子発行、又は紙面で発行して郵送します。
報告書例
よくある質問
圧縮強度試験に関してのよくある質問について
どの試験室で実施していますか?
圧縮強度試験は全試験室で対応しています。
曲げ強度試験は浦和試験室と福岡試験室のみとなります。
設計基準強度120N/mm²クラスの超高強度コンクリートの圧縮強度試験はできますか?
東日本エリアでは武蔵府中試験室、西日本エリアでは福岡試験室で可能です。
最大容量3000kNの耐圧試験機を所有しています。
セメントペーストでのキャッピングはできますか?
セメントペーストでのキャッピングは実施しておりません。
なお、石こうでのキャッピングは可能ですが、キャッピング後の水中養生はできませんので、ご注意ください。
アンボンドキャッピングでの試験をお願いできませんか?
アンボンドキャッピングを用いた圧縮強度試験は実施しておりません。
供試体の養生にはどのようなものかありますか?
温度20℃の水中での養生(標準養生)、工事現場の屋外に設置された水槽での水中養生(現場水中養生)、供試体の水分が飛散しないようプラスチックフィルムで密閉し、工事現場で直射日光を避けた屋外での養生(現場封かん養生)が代表的な養生です。
その他、工事現場で直射日光を避けた屋外に直置きする養生(現場空気中養生)があります。
構造特記仕様書でどの養生方法で養生するか確認し、養生をお願いします。
試験室でも全ての養生が可能です。ただし、工事現場の外気温に追従する養生(現場水中養生、現場封かん養生、現場空気中養生)の場合、試験室と工事現場の地域により、外気温に大きく異なる場合がありますので、供試体搬入時期にご注意ください。
供試体の大きさはどこまで許容できますか?
JIS A1132(コンクリートの強度試験用供試体の作り方)に規定される、直径100㎜、125㎜、150㎜の圧縮強度試験供試体や、標準断面寸法100×100㎜、150×150㎜の曲げ強度試験供試体とも全て対応可能です。
試験時の写真撮影について教えてください。
写真は、試験後1枚が標準ですが、試験前・中・後の3条件、さらに各試験体1枚も選択可能です。
ただし、1枚撮影するごとに所定の手数料がかかりますので、ご注意ください。
静弾性係数試験に関してのよくある質問について
どの試験室で実施していますか?
コンプレッソメータでの試験は、浦和試験室と武蔵府中試験室で対応しています。
その他の試験室ではひずみゲージで対応します。
試験立会は可能ですか?
可能です。
ただし予めご予約下さい。
供試体は郵送でも可能でしょうか?
可能です。
ただし、破損しないように緩衝材でくるむなどの処置をお願いします。
整形は行ってもらえますか?
端面の研磨や切断は有料で可能です。
寸法はいくつのものが可能ですか?
コンプレッソメータでは、φ100mm×200mmのものを対象としています。
φ125mmやφ150mmのものはひずみゲージを貼り付けて測定します。
割裂引張試験に関してのよくある質問について
どの試験室で実施していますか?
全試験室可能です。
寸法はいくつのものが可能ですか?
直径はφ50~φ150mmまで可能です。
ただし、長さは試験室によっては半分あるいは所定長さにカットさせて頂きます。
打設面の研磨は必要ですか?
原則、研磨は必要なく小手仕上げで十分ですが、あまりに大きく不陸がある場合は研磨をさせて頂きます(有料)。
お見積り・お申し込み
お申込みは、こちらのフォームからお願いいたします。
関連資料
建材試験センターYouTubeより【ゼロから分かる!】コンクリートの圧縮強度試験
建材試験センターYouTubeより「コンクリート試験の紹介」
関連する試験
お問い合わせ
試験所へのアクセス
武蔵府中試験室
〒183-0035 東京都府中市四谷6-31-10
TEL:042-351-7117
FAX:042-351-7118
アクセス
- 京王線中河原駅よりバスで約15分
(ちゅうバスをご利用の場合)四谷六丁目ルート・四谷六丁目で下車し徒歩2分
(京王バスをご利用の場合)都営泉2丁目行きバス四谷泉で下車し徒歩1分
横浜試験室
〒223-0058 神奈川県横浜市港北区新吉田東8-31-8
TEL:045-547-2516
FAX:045-547-2293
アクセス
- 横浜市営地下鉄新羽駅(出口1または出口2)より徒歩15分
- 東急東横線綱島駅より新横浜駅行き、新羽駅行き、新羽営業所行きバス約15分、貝塚中町で下車し徒歩約2分。
船橋試験室
〒273-0047 千葉県船橋市藤原3-18-26
TEL:047-439-6236
FAX:047-439-9266
アクセス
- JR武蔵野線船橋法典駅より桐畑・市川営業所行き、桐畑・中沢経由ファイターズタウン鎌ヶ谷行きバス約10分、藤原5丁目で下車し徒歩約3分。
福岡試験室
〒811-2115 福岡県糟屋郡須恵町大字佐谷926番地
TEL:092-934-4222
FAX:092-934-4230
アクセス
【九州自動車道利用】- 須恵スマートICから県道91号線を東に向かい約10分
- 大宰府ICから国道3号線を空港方面に向かい、御笠川交差点を右折し県道60号線を直進約15分
- ユニバ通りを経由して、県道91号線を東に向かい約30分