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複層ガラスの断熱性、日射熱遮へい性試験

試験の目的 断熱性能、日射熱遮へい性能を調べる。
試験体 複層ガラス
寸法:350×500mm
構成:原則として材料板ガラスの厚さ5mm、空気層厚さ6mm
試験体数:n = 3
単板ガラス
寸法:50×50mm
試験体数:n = 1
試験方法 概要 複層ガラスの厚さの測定、単板ガラスの日射透過率、日射反射率、放射率の定結果より複層ガラスの断熱性及び日射熱遮へい性を計算する。
準拠規格 JIS R 3209(複層ガラス)、JIS R 3106(板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法)、JIS R 3107(板ガラス類の熱抵抗及び建築における熱貫流率の算定方法)
試験装置
及び
測定装置
(1) マイクロメーター
(2) 分光測光器
試験の
手順
1.厚さの測定
複層ガラス表面の汚れを拭き取り、マイクロメーターによって各辺の厚さ(4点)を測定する。

2.日射透過率、日射反射率、放射率の測定
(1)波長(300~2500nm)の分光測光器を用い、各種単板ガラスの分光透過率、分光反射率を測定する。また、波長5.5~50μmの分光測定器を用いて放射率を測定する。なお、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、熱線吸収板ガラスの放射率は既定値を用いる。
(2)日射透過率、日射反射率、日射吸収率、修正放射率の算出
JIS R 3106に従い、日射透過率、日射反射率、日射吸収率、垂直放射率を算出する。修正放射率に関しては、JIS R 3107に示されている係数を、垂直放射率に乗ずることにより求める。

3.断熱性、日射熱遮へい性の算出
(1) 厚さの測定値、修正放射率を用いJISR3209に従って複層ガラスの熱抵抗を算出する。ただし中空層が2mmを超える場合はJIS R 3107に従って中空層の気体熱コンダクタンスを求める。
(2) 断熱性は、複層ガラスの熱抵抗に熱伝達抵抗を加えて熱貫流抵抗で求める。
(3) 日射熱遮蔽性はJIS R 3106により日射熱取得率を求め、1から差し引いて算出する。
評価方法 熱貫流抵抗
日射熱取得率
結果の表示 熱貫流抵抗
日射熱取得率
日射透過率
日射反射率
日射吸収率
修正放射率
試験体平均厚さ

解説

1.断熱性

断熱性の試験・計算は、複層ガラスの厚み、反射膜加工及び断熱性ガスの有無により異なりますがが、従来のように熱箱を用いた試験を行う必要はなく、複層ガラスの熱抵抗を厚さの測定値と材料板ガラスの放射率の測定値から求めることができます。

1)中空層の呼び厚さが12ミリ以下の場合の熱抵抗の算出

中空層が12ミリ以下の場合は、試験体厚さの実測値と中空層面のガラス板表面の修正放射率より算出します。修正放射率の測定は、大きさ50×50mm程度のピースについて、赤外域の分光反射率を分光測光器により測定し、JIS R 3106とJIS R 3107により求めますが、フロート板ガラス及び磨き板ガラス、型板ガラス及び熱線吸収板ガラスについては、値が定められているので(ε1=ε2=0.837,εs=0.72)厚さの測定のみで算出が可能です。
中空層の厚さは、実測された複層ガラス製品の平均厚さから、材料板ガラスの呼び厚さの合計を差し引いて求めます。厚さの測定は0.01mmまで読めるマイクロメーターにより、各辺の中央部付近を測定します。

2)中空層の呼び厚さが12ミリを超える場合の熱抵抗の算出

中空層の呼び厚さが12ミリを超えると、中空層内での対流の影響が大きくなるため、JIS R 3107に従って中空層の気体熱コンダクタンスを求めなければなりません。このとき中空層に封入されている気体の種類、混合比、中空層の傾斜角によって与条件が変わってきます。また計算に用いる温度及び温度差の値は、2枚のガラス板から成る複層ガラスの場合はJIS R 3107に示されていますが、3枚以上のガラス板から成る複層ガラスの場合は伝熱理論式の数値解によって求めます。この場合、熱抵抗をガラス板温度の関数とする理論式を連立して、代入法による数値計算を行います。

2.日射熱遮へい性

日射熱遮へい性については、断熱性算出の際に求めた修正放射率に加え、JIS R 3106に従って日射透過率、日射吸収率を求めた後に算出します。ここでは夏季の冷房負荷に対する効果を対象としているため、式中の各係数は断熱性算出の場合と異なります。なお、フロート板ガラス及び磨き板ガラス、型板ガラス及び熱線吸収板ガラスでは、
ε1=ε2=0.837,εS=0.72とします。