WUFI(熱湿気同時移動解析)に必要な物性値の測定
中央試験所環境グループでは、WUFI(ヴーフィー)Pro.による壁体の非定常熱・湿気計算を実施しております。また、計算に必要な物性値の測定をしております。さらに、これらの測定結果に基づき、フラウンホーファー建築物理研究所(IBP)にWUFIの建材データベース登録の申請を行うことができます。
物性値と測定法
WUFIでの計算に必要な物性と測定法を紹介します。WUFIに登録する物性値の詳細はWUFIのHelpを参照してください。なお、建築材料の特性に応じて必要な物性は異なります。詳しくは中央試験所環境グループまでお問い合わせください。
基本的な物性値と測定法
項目 | 試験法 | 備考 |
---|---|---|
密度[kg/m3] | 各種建材規格 | 乾燥状態 |
空隙率[m3/m3] | 減圧法 | 体積に占める空隙の割合、乾燥状態 |
比熱[J/(kg・K)] | JSTM H 6107 | 乾燥状態 *1 |
熱伝導率[W/(m・K)] | JIS A 1412-1 JIS A 1412-2 |
乾燥状態、試験体温度10℃ *2 |
水蒸気拡散抵抗係数[-] | JIS A 1324 JIS K 7225 JIS Z 0208 |
同厚の空気層の透湿抵抗に対する建材の透湿抵抗の割合 *3 |
*1:データがない場合、WUFIの近似値を利用可能
*2:WUFIの近似式により、他の試験温度の測定結果も利用可能
*3:透湿抵抗の測定結果から換算可能
関数で与える物性値と測定法
項目 | 試験法 | 備考 |
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平衡含水率[kg/m3] | JIS A 1475 | 相対湿度と含水率(容積基準質量含水率)の関係 吸湿過程、RH80%、93% 木質系は97%も測定 |
水分拡散係数[m2/s] | 水分拡散係数測定法 | 液水成分の移動係数(水分拡散係数) |
吸水係数 [kg/(m2・s0.5)] | 吸水試験法 | 水分拡散係数を近似式で算出するための物性値 片面吸水の吸水速度 |
水蒸気拡散抵抗係数、 水分依存 |
JIS A 1324 JIS K 7225 JIS Z 0208 |
水蒸気拡散抵抗係数に相対湿度依存がある場合、 相対湿度条件の異なる透湿抵抗を測定 |
熱伝導率、水分依存 | JIS A 1412-1 JIS A 1412-2 |
熱伝導率に 含水率依存がある場合、 含水状態に応じた熱伝導率を測定 |
熱伝導率、温度依存 | JIS A 1412-1 JIS A 1412-2 |
熱伝導率に温度依存がある場合、 異なる試験温度条件での熱伝導率を測定 |
エンタルピー、温度依存 | 熱流計法 | 潜熱蓄熱材(PCM)を含む場合、温度と比熱の関係を測定 |
表面仕上げ材の物性
測定対象により測定方法が異なります。詳しくはお問い合わせください。
項目 | 試験法 |
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日射吸収率(-)*1 | JIS K 5602 JIS R 3106 |
長波長放射率(-) | JIS A 1423 JIS R 3106 FTIR積分球法 |
Sd値 (m)*2 | JIS A 1324 JIS Z 0208 |
*1:日射反射率の測定結果から計算により求める。
*2:材料の透湿抵抗を、等価の透湿抵抗をもつ空気層の厚さで表現したもの。水蒸気拡散抵抗係数に材料厚さを乗じた値
WUFIの建材データベースへの登録
WUFIの建材データベース設定(ユーザー設定)
建築材料の物性が分かっている場合、WUFIの建材データベースに、ユーザー設定値として登録ができます。一般的な建築材料において、熱伝導率、透湿抵抗、平衡含水率の値が分かっている場合、自然飽和含水率、最大含水率、空隙率を求めることになります。なお、吸湿性がある材料は吸水係数が必要など、材料に応じて求めておくべき物性値が異なります。
比熱や、熱伝導率の温度依存性などは、データがない場合にはWUFIの標準値を使うことができます。
WUFIの建材データベース登録
WUFIに収録されている建材データベースへの登録を行うことができます。建材データベースには、建材の物性値のほか、企業名、商品名や製品情報なども併せて掲載されます。データベース登録は、当センターが実施した試験データをもとに、IBPに登録申請を行う必要があります。登録費用、登録方法などは担当者までお問い合わせください。
外部リンク
WUFI(英語)
WUFI(日本語)